遺産相続

祖父の遺産相続

祖父の戸籍謄本が届く。年金や恩給等の祖母への相続で四部ばかり必要であったという。本籍地より取寄せるだけで六千円以上かかったらしい。少し閲してみる。なかなかおもしろい。目を細くして、昔の役人の書いた字を読む。曽祖父の名が初太郎、高祖の名が角兵衛というのを今日知る。これは祖母も知らなかったと云う。然し、何処を探しても祖父の通帳が見つからない。如何なる由を以て隠したのかその真意は判らぬも、恐らくはその残高が忍ばれる額なのであろうと今日にして察せられた。生前、祖父は祖母に隠れて祖母の通帳より金を引き出していた事が今日明らかになった。今日、祖母は十年振りに自分の通帳より金を引き出そうと郵便局に赴き、その残高に驚いた。思いの他に減っていた。通帳には利子という字が印せられている。錯乱した祖母は利子という知らぬ女が勝手に引き出したのだと勘違いをした。よく見ればすぐに解かる事に思うも、その時の祖母は珍しく怒った。後で母にそれは利子で、引き出したのはじいちゃんだと諭されるまで祖母の怒りは続いた。母は先が思いやられると呆れる。自分はその話を聞いておもしろいと思った為、記念として記す。